Ableton Meetup Tokyo ライブ配信システム構築術、第3回目は音響機器について触れていきたいと思います。音楽に携わる方ならなるべくいい音で配信したい…それは当たり前のことだと思います。
しかし、ライブ配信は音響だけでなく、映像やネットワークなど裾野の広い分野です。音質を追求した結果セッティングが煩雑になり、本番開始には既に疲労困憊…になりかねません。自宅据え置きの機材で配信する場合は、普段の制作にも使える機材を選びたくなるかもしれませんが、可能なら配信と制作で機材を分けた方が、シンプルなセッティングになると思います。

録音用とは少し違うマイク選び

市場には数多くのメイクメーカーがあり、様々な種類のマイクが流通しています。その中には配信用と謳われたものもあり、カメラ映えするよう見た目が派手で、スタンドと一体型の製品が多い印象です。
これらのマイクの多くは、マイク側にミュートスイッチがついていたり、音量調節できる機能を備えています。こうした機能が無くてもミキサーでなんとかなりますが、マイクにもあった方が便利です。
逆にレコーディングに使うような高級マイクは、配信用には不向きです。これらは扱いがシビアで、ショックマウントも必要だったりして機動性に欠けます。

AMTではAKG Lyra-Y3という配信向けのマイクを使用しています。これは見た目が高級感あってカメラ映えするので、主にトーク中心のコンテンツの時に使います。
ざっくりとした機能はこちらにも書いていますが、USB接続のステレオマイク(普通のマイクとしても使用可能)です。
このマイクをコンピューターやiOS/Android端末に接続すると、2in/2outのオーディオインターフェースとして認識されます。この2outはマイクのヘッドフォンアウトの出力となり、マイクから入力された信号はそのままヘッドフォンアウトに返り、そこにPCからの音が混ざる、という具合です。

機材を触りながら喋るならヘッドセットかピンマイク

もし機材を操作しているところを配信したいのであれば、マイクの位置を気にしなく良いヘッドセットマイクやラベリアマイク(ピンマイク)がオススメです。以前DPAのラベリアマイクを使ったことありますが、さすがに軽くていい音でした。手の届くお値段ではありませんが…。
また、機材を触りながらライブ配信したい方は、ゲーム実況の配信システムが参考になると思います。使ったことはないですが、ヘッドフォンとマイクが一体になったゲーム実況用ヘッドセットも良さそうです。KOSS辺りは安価なので手が出しやすいかと思います。

ちなみに、AMTのイベントではSHUREのヘッドセットマイクを使っています。メーカーの方には申し訳ないのですが、AMTのゲストの方々はあまり使いたがりません。マイクの位置で音質が大きく変わる割には、装着の仕方がわかりづらく、フレーム部分も硬いです。

歌などで自分の声を聞かせたい場合は、SHURE SM58などボーカル用マイクを使うのも手です。この場合は別途マイクスタンドや外部ミキサーが必要になり、場所と手間はかかりますが、やはりクオリティーは一段上がる印象です。

マイク選びのポイント

  • あまり重くないもの
  • マイク側でミュートできると便利
  • 機材を触りながら話すならピンマイクかヘッドセット
  • ヘッドフォンもすることを考えて選びましょう

マイクスタンド

ヘッドセットを使わない場合は、マイクスタンドが必要です。これも多くのタイプがありますが、箱やスタジオで使われているブーム式のマイクスタンドは、設置場所を取るので向いていません。便利なのは机にくっつけられるアーム式のマイクスタンドです。
このタイプは手元のスペースが空くので、機材を触りながら喋るのに向いています。ラジオ局もこのタイプのスタンドを使っているし、AMTの自宅配信でも使っています。
本当はサウンドハウスで売っているようなメーカー品が欲しかったのですが、今でも品薄ですぐに売り切れるため、泣く泣くAmazonの激安中華メーカーにしました。
選ぶ上で気をつけるポイントは、マイクの重量との兼ね合いです。マイクが重いとアームが知らず知らずのうちに垂れ下がります。使うマイクも軽い物が良いでしょう。
また、安物スタンドだとちょっとした机の振動がアームに伝わってノイズになったりハウリング起こしたりします。

アーム式以外のスタンドだと、小型の卓上スタンドもあります。スペースの都合などでアーム式が使えない場合は、こちらを選ぶことになりますが、目の前にマイクを置く形になるので、機材を触りながら喋るのには向いていません。トークだけならこれでもいいのかな。

マイクスタンド選びのポイント

  • 適合荷重が手持ちのマイクに耐えられるもの
  • スプリング式でノブを緩めなくてもマイクを動かせるもの
  • アームの作りがある程度ごつい方がベター

大は小を兼ねないミキサー

機材やDAWの音を出しながらライブ配信を行う場合は、ミキサーが必要になります。既にミキサー持っている方も多いと思いますが、かならずしもライブ配信に向いているとは限りません。
ライブ配信ではチャンネル数もそれほど必要ないので、配信に特化した小型の機材を選んだ方がベターです。
また、ミキサーにはアナログとデジタルがありますが、ライブ配信はデジタルの方がお薦めです。小型で重量も軽く、機能も詰め込めます。

というわけで、AMTではZoom LiveTrak L-8を選びました。これはUSBバスパワーで動作して、オーディオインターフェースにもなる優れもの。仕様にはチャンネル数がモノラル8chとありますが、USB接続したPCからはステレオ2系統出せるので、最大10ch使えるという謎仕様です。笑

このミキサーが良いのは、ヘッドフォンアウトがマスター1系統+バス3系統あり、合計4つのヘッドフォンを扱えるところ。ライブ配信の場合は、ハウリング防止のため、外音を出さずにヘッドフォンでモニターすることが多いので、こうした機能はありがたいです。サイズもコンパクトで、内部でトラック毎に録音もできるAMT向きのミキサーといえます。
現場でも使いましたが音質も悪くありません。これだけ機能詰め込んでUSBバスパワーで動くのはすごいですね。ライブ配信のことを考えて作られたミキサーだと思います。

Zoom L-8の他には、YAMAHA AG-06やROLAND GO:MIXERなどもっと小型のものもあります。自分が配信したいコンテンツに合わせて選びましょう。

ミキサー選びのポイント

  • USBバスパワーで駆動するような小型デジタルミキサー
  • ヘッドフォンのモニター機能が充実していると便利
  • オーディオインターフェース機能内蔵していると機材を減らせる

ヘッドフォン

DTMやっている方なら大抵ヘッドフォンを持っているでしょう。ただ、ヘッドセットマイクとヘッドフォンの同時使用は結構しんどいので、事前によくプランを練る必要があります。
マイクの項でも触れましたが、ヘッドフォンとマイクが一体型になったゲーミングヘッドセットなども使えるかもしれません。KOSSのものだと安価だし、プロ仕様ならスポーツの解説などで使われていそうなAKG HSC271などもあります。AKGはケーブル別売りなので値は張りますが。

オーディオインターフェース

こちらもDTMやっている方なら大抵持っていると思いますが、ミキサーにインターフェース機能を内蔵しているものもあるので、省けるようなら省きましょう。
AMTは前述のLiveTrak L-8がオーディオインターフェースになるので、一人でライブ配信する時は別途インターフェースは用意しません。

オーディオインターフェース選びのポイント

  • ミキサーがオーディオインターフェース機能内蔵していたら不要
  • USBバスパワーで駆動する小型のもの
  • チャンネル数:アウトプットのチャンネル数は2chで足りる場合が多い/インプットは用途に応じて

ライブ配信用機材は割り切りが必要

ここまでライブ配信で使う音響機材を取りあげてきました。冒頭でも述べましたが、ライブ配信は映像やネットワークまで幅広い分野を網羅するので、音質だけが重要というわけではありません。機材トラブル防止のためにも、必要以上のクオリティーは求めず、シンプルにすませる割り切りが大事です。

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