Satellite Pluginsとは〜その背景〜

来週月曜日のAbleton Meetup Tokyo Vol.41で取りあげるSatellite Pluginsはリモートで音楽を共同制作を可能にするツールで、アメリカのMixed In Keyというメーカーが開発しています。このメーカーは、DJで曲同士のキーを合わせてミックスする(Mixed In Key)という名前の由来どおり、コードやハーモニーに関する製品を多くリリースしています。
音楽制作している人向けの製品では、コード進行やメロディなどの生成支援ツール=Captatin Pluginといった製品があり、専門的な音楽教育を受けていない人でもそれっぽい曲が作れます。

MIKは2018年のAbleton Loop LAにも出展していたことから、Ableton認定トレーナーコミュニティーとも繋がりがある会社です。今回のAMTでSatellite Pluginsを取りあげるのも、MIKの中の人から「こんなツールあるんだけどトレーニング受けてみない?」とZoomで使い方を教わったことがきっかけです。無料でフル機能が使える上に、実際使ってみると多人数でワイワイしながら制作できるので、AMTの配信で取りあげてみようと思いました。

Satellite Pluginsを導入する

このSatellite Pluginsの詳細は6/7のAbleton Meetup Tokyoで実演するので、ここでは概要を紹介します。Satellite PluginsはmacOS 13/Windows 8以降で動作して、VST/AU/AAXのプラグイン形式に対応。OSやDAWが違っていても共同作業ができるのがよいところです(ここがコラボで最初につまずくポイント)。

Satellite Pluginsのサイトからインストーラーをダウンロードして展開すると、以下のプラグインが3つインストールされます。

Satellite Sessions:セッションの管理画面(インストゥルメント)
Satellite Audio:自分のローカルの音声をキャプチャーしてアップロード(オーディオエフェクト)
Satellite MIDI:MIDIのキャプチャーとアップロード(インストゥルメント)

これらを使ってコラボレーションしていくわけですが、主に使うのはSatellite Sessionsになります。まずは空のMIDIトラックにSatellite Sessionsをインサートすると、初回起動時にオーソライズを求められます。使用は無料ですがオーソライズは必要です。

Satellite Sessions

どのような仕組みでコラボレーションするのか

Satellite Sessionsを起動すると、こんな感じの画面が表示されます。新しいセッションを開始する場合はCREATE A NEW SESSION、誰かのセッションに参加する場合はJOIN SESSION、過去に参加したセッションの履歴やデモセッションに参加するにはSESSION DASHBOARDといった案配です。だいたいの人は、はやる気持ちを抑えきれずCREATE A NEW SESSIONを選ぶことでしょう。

新たにセッションを開始すると、アレンジメントビューみたいな画面が表示されます。画面右上にCHATやらINVITEなどのアイコンが並んでいて、このプラグインを通して相手とコラボできるようになっています。

セッション相手に参加してもらうにはINVITEを押してEメールで参加コードを送信します。現時点ではコードを送れるのはEメールのみなので、リンク送っても参加できても良さそうだとは思います。

オーディオデータを共有してみる

Satellite Pluginsのワークフローとしては、Satellite AudioとSatellite MIDIのプラグインを使ってオーディオやMIDIをキャプチャーして、このSatellite Sessionsのタイムラインに貼り付けていく感じになります。

下のスクリーンショットは、TR-909の音源の後段にSatellite Audioをインサートして、909のキックの音をキャプチャーしているところ。この記事ではわかりやすくオーディオだけ取りあげますが、MIDIを送る場合でも流れは同じような感じです。

キャプチャーが終わると下のような画面になります。使用感としてはオーディオやMIDIをタイムラインに貼り付けて共有する感じでしょうか。キャプチャーした音はMIKのクラウドサーバにアップロード/保存されるので、コラボ相手がオフラインでも後からチェックしてもらうことができます。

リモートでコラボレーションというと、北京のスタジオの演奏を東京で録音するみたいなリアルタイム型のものか、お互いdropboxでファイルを送り合うような非同期型のもののどちらかになりがちです。Satellite Pluginsはその中間くらいなので、自分のような個人ユーザーには使いやすいスケール感だと思いました。

「よし、すぐに使ってみよう」と思った方に、最後にひとつだけ注意点です。Satellite Pluginsの音が出たり出なくなったりすることがあるので、最初に右上のSettingで上から3つめの”Mute my recorded stems when plugin is out of focus”のチェックを外しておいてください。これは、Satellite Sessionsのプラグインを選択していないときはプラグインの音をミュートするという設定で、Ableton Liveだと上手く動作しないときがありました。
また、使い方がわからないときは英語のHow To Guideや、日本語のチュートリアル動画もあるので、そちらも参考にしてみてください。

これだけ色々出来て(さらにデータまで保管してくれて)ツールとしてはとても便利なのに無料で全機能を使えます。MIKの人に「これだけ高機能なのになんで無料なの?」と聞いたら、「パンデミックで人と会えない時でも人と人を音楽で繋げたい」という嬉しいお言葉を頂きました。

Ableton Meetup Tokyo Vol.41ではSatellite Pluginsを実演!

さて、このSatellite Pluginsの詳しいことは6/7のAbleton Meetup Tokyo Vol.41で実演していきます。テキスト読むより実際に使っている所みた方が面白いです。お楽しみに!

Ableton Meetup Tokyo Vol.41 無料のリモートコラボツールでシングルを作ろう!Satellite Plugins特集
日時 : 2021/6/7(Mon) 21:00-22:00

配信プラットフォーム : YouTube Channel
https://www.youtube.com/c/AbletonMeetupTokyo

出演:
Koyas (Ableton Certified Trainer)
CD HATA (from Dachambo)
DIEZONE (SUNNY/BLACKSHIP)
Taito Otani

詳細はこちら
https://ableton-meetup.tokyo/event/2021/06/02/2541/
視聴URL
https://youtu.be/JWNBOHMg5a8

「AMT Vol.41 無料のリモートコラボツール=Mixed In Key Satellite Plugins」に2件のコメントがあります

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