攻めの姿勢を感じる新機能の多さ

Live 11の新機能はLive 10と比べると多岐にわたり、これでどんなことができるか楽しみになるアップデートです。Live 1からインターフェースのデザインを頑なに守り続けるAbletonにしては、インタフェースの細かいところが結構変わっていたりして、今回は攻めているなと感じました。
新しくなったところをざっくりとリストにしてみると…

  • MPEをはじめとしたMIDI関連のアップデート
  • コンピングやトラックリンクなどアレンジメントビューの機能追加
  • オーディオエフェクトの新規搭載やアップデート
  • Rack機能やフォローアクションなどパフォーマンス関連のアップデート
  • サウンドライブラリーの追加など

これらの機能の詳しい解説やデモは、Ableton Meetup Tokyoの配信でも行っていきますが、ここでも簡単に紹介したいと思います。
なお、この記事で使用してるLive 11は開発途中のベータ版です。機能や名称などは製品版で変更になる可能性があるのでご注意ください。また、新規追加される予定のPackなどもまだ実装されてないものがあります。

MPE

Live 11ではMPE(MIDI POLYPHONIC EXPRESSION)に対応しました。このリンクにも書いてあるとおり、これはMIDIの新しい規格で、和音を弾いたときなどに、1音ずつ別々のMIDI情報をやりとりすることができます。今回対応するLiveのデバイスは、Wavetable、Sampler、Arpeggiatorの3つです。
このMPEはシンセサイザーの可能性を広げる面白い機能なのですが、残念ながらテキストではまったくその良さが伝わりません。笑
MPEは動画やハンズオンで体験して頂きたい機能です。AMTの配信でもデモすると思います。

イギリスのAbleton認定トレーナーSimon Stokesが、sonicstateの動画でこうした機能のデモをしています。英語の動画ですが、MPEだけでなくLive 11の新機能を一通り紹介しています。

Live 11のパブリックベータテストに参加できる方は是非自分の手でMPEを試して頂きたいと思います。MPE対応のMIDIコンを持ってなくてもパラメーターはエディットできるし、きっとMPE対応のMIDIコンも欲しくなると思います。

MIDIエディタの強化

右側がエクスプレッションレーン

MPE対応に伴って、MIDIエディタも一新されました。新たにエクスプレッションレーンが追加されました。上の画像では3音のコードを弾いて、下の2音に別々のピッチベンドをかけています。
また、MIDIクリップにスケールを指定できるようになり、ピアノロールにそのスケールが反映されるようになっていたりします。

右下がProbability

また、LiveのMIDIエディタに昨今流行りのProbability機能も追加されています。Probabilityは発音する確率をコントロールする機能で、ピアノロールの下段を見ると、ベロシティーの下にProbabilityが表示されています。これは便利!この画像には写っていませんが、ベロシティーの値を指定した範囲内でランダムにする機能も備わっています。

コンピング

薄緑がトラック/濃い緑がテイクレーン

コンピングとは、1つのトラックに複数のテイクを録りためて、そのテイク同士をつなぎ合わせられる機能です。Logicにも同じ名前の機能があり、Pro Toolsにもプレイリストという名前で同等の機能があります。
Live 9の時には、既にユーザーからコンピングの追加要望がでていたのですが、なぜか今まで頑なに搭載されなかった機能です。この機能を待っていた方も多いのではないでしょうか。

コンピングは、オーディオにもMIDIにも使えます。同じ箇所を複数回録音して、トラック名のところを右クリックして「テイクレーンを表示」すると、録音したテイクが展開されます。

上の画像では、Laneの右側にあるスピーカーアイコンをクリックすると、そのテイクを試聴できて便利。使うテイクや箇所をが決まったら、キーボードの[B]を押してドローモードにしてドラッグするだけで、テイクをつなぎ合わせられます。操作も簡単なので、コンピングを使って何か面白いことできないかと色々試してしまいました。こういうのがLiveのいいところですね。

トラックリンク

リンクされたトラックは、トラック名のところに小さくアイコンが表示される

Live 11ではアレンジメントビューも強化されていて、このトラックリンクもそのひとつ。複数トラックのクリップだけをグループ化させて編集を楽にします。例えば、マイクを複数たてて録音したドラムをエディットする時に役立ちそうです。
このトラックリンク、Pro Toolsにも昔から似たような機能があるのですが、Liveのアレンジメントビューを触っているとPro Toolsに近い感じがするのは僕だけでしょうか。このふたつは正反対のDAWのような気もしますが、両者とも原点がオーディオしか扱えないDAWであるなど共通項があると思います。Pro Toolsは、エラスティックオーディオや、さかのぼりレコード機能など、Liveの機能を搭載してきてますね…笑

AMTでは11/23 2PMからLive 11特集の配信を行います

さて、ここまでLive 11のMIDI周りとコンピング/トラックリンクといったアレンジメントビューに関する機能を紹介してきました。次回は新しくなったオーディオエフェクトを取りあげていこうかと思います。

また、11/23(月・祝)午後2時から、Ableton Meetup TokyoのYouTubeチャンネルでLive 11を特集した配信を行います。詳細は後日紹介しますが、こちらではQ&Aの時間も設けますので、興味ある方は是非ご覧になってください。視聴は無料です!

文:Ableton認定トレーナー Koyas

注意/免責事項
この記事で使用してるLive 11は開発途中のベータ版です。
機能や名称などは製品版で変更になる可能性があります。
新規追加される予定の機能やコンテンツはまだ実装されてないものがあります。
また、この記事の内容はAbleton AG/Ableton株式会社によるものではありません。記事の文責は投稿者に帰属します。

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