Ableton認定トレーナーのKoyasです。本日はさすがに興奮気味にならざるを得ないビッグニュース!Abletonが新製品「Push」の情報公開&販売を開始しました!!
この記事では、Push 2と比較するために便宜上Push 3と表記しますが、今回から製品名からナンバリングが外れて、「Push」という名前の製品として生まれ変わりました。

Push 2が発売されてから8年が経過して、いい加減そろそろ新しいのを…と待ち焦がれていた人も多いでしょう。Pushは、もはやコントローラーの枠を超え、予想の上を行く素晴らしい仕上がりになっています。
今回はウリはこちらッ!

  • スタンドアロンで動作するPush(スタンドアロン)と、従来通りコンピューターに接続するPushの2つの形態
  • スタンドアロンのPushはCPU、メモリ、ストレージ、バッテリー、Wi-Fiを内蔵。その他は通常版と同じ仕様。
  • オーディオインターフェースを内蔵
  • 4系統のCV出力もできる2つのペダル端子
  • 1系統のMIDI入出力(3.5mmステレオミニ)
  • USBホスト機能を備え、MIDIコントローラー等を接続可能
  • MPEに完全対応したパッド
  • 左右に動かせて押し込めるジョグホイールやセッションDパッドなど操作性の向上
  • 通常版のPushをスタンドアロンで動作できるようにするアップグレードキットが発売(2023年末)
  • 対応するLiveは同日にリリースされたLive 11.3以降(ここ意外と大事)

目立った点でいうと上のようになります。それでは早速見ていきましょう。

スタンドアロンでの動作に対応

Push(スタンドアロン)にはCPUなどが搭載されていて、とうとうLiveがコンピューター無しで動作するようになりました。セッションビューの多くの機能がスタンドアロンで動作します。
まるでコンピューターじゃん…と思うでしょうが、スタンドアロンのPushは、IntelのCPU/8GB RAM/250GBのSSD/Wi-Fiを搭載した立派なコンピューター。内部ではLinux版Liveが組み込まれているので、Liveの機能も当たり前のように使えます。
残念ながらVST/AUのプラグインは使えない仕様(そもそもほとんどがLinuxに未対応)ですが、Max for Liveデバイスは使えます。ということは、M4Lであれやこれや…夢は広がりますね!

バッテリーも搭載していて、スタジオの外に出て使うこともできます。バッテリーの持ちはメーカー公称では2-3時間とのこと。この数字は使用状況により大きく変動すると思いますが、もしライブの現場にACアダプターを忘れても、60分のライブならサウンドチェック含めてなんとか持つでしょう。

また、Wi-Fiも搭載していて、スタンドアロンでもLinkを使った同期を可能にします。いちいちコンピューターに接続しなくても、LiveとPush間でファイルをやりとりできたり、PushだけでソフトウェアのアップデートやPackのインストールできるのも便利。

通常版のPushは、従来通りPCとUSBで接続しますが、端子はUSB-Cになっています。スタンドアロンで使用できないこと以外に大きな違いはないので、どちらを購入したらよいか迷うところです。
そんな貴方のために、あとからスタンドアロンで動作できるようにするアップグレードキットが2023年の終わり頃に発売予定です。

オーディオインターフェースを内蔵

Pushはオーディオインターフェースも内蔵しました。アナログ2in4out(うち2chはヘッドフォン)で、最大96kHzのサンプルレートに対応。ビットデプスは仕様に記載されてないですが、24bitで録音しているようです。
アナログ入力にはマイクプリやファンタム電源こそないものの、プリアンプを3種類備え、コンデンサーマイク以外のさまざまな機材に対応しています。

さらにADAT入出力も1系統ずつあるので、外部のAD/DAやオーディオインターフェースとの組み合わせが可能。さらにADATからCVに変換するモジュール(Expert Sleepersとか)があればADAT経由でモジュラーとのやりとりも可能です。
音質は、癖が無くてジャンルを問わず使えるタイプですが、ローエンドの伸びが気持ちよく、思わずテンションが上がります。

外部機器との連携を強化

Push 2は外部と連携するポートがありませんでしたが、Push 3には外部機器と連携できるポートをひととおり搭載。嬉しいことに、これはスタンドアロン版も通常版も共通です。MIDIは3.5mmのステレオミニプラグを使った入出力が1系統ずつあります。

さらにUSBのホストとなるUSB-A端子が1つあり、これにUSBクラスコンプライアントのMIDIコントローラーやシンセなどを接続可能。ここにNovation LaunchControl XLを挿してみると、何も設定しなくてもPushのミキサー部をコントロールできます。

個人的にナイスだと思ったのはフットスイッチを繋げる2系統のペダル端子。ただのペダル端子ではなく、”ダイナミックポート”と呼ばれる多機能ポートです。Pushの設定を変えて変換アダプター(このY字ケーブルこの変換アダプター)を使うと最大4系統のCV/GATEが出力できるので、モジュラー使いの人たちの涎が止まらなさそうです。CVも10Vまで出せます。

MPEに対応したパッド

Push 3のパッドはPush 2と比べると薄くなり、以前より叩きやすくなりました。パッドも特別に開発したものらしく、パッドに触れる前から指を感知しているそうです。すごすぎて仕組みや理由はよくわかりませんが、Push 2と比べると比べものにならないくらい感度が上がっているそうです。

そして、パッドはMPEとはMulti Polyphonic Expressionと呼ばれる、和音を扱う機能を強化したMIDIの規格にも完全対応。Push 2もMPEには対応していたのですが、ポリ・アフタータッチと呼ばれるパッドを押し込む力の部分だけでした。
Push 3ではMPE対応コントローラーの標準機となるべく、パッドの上下左右のスライドや、ノート単位のピッチベンドにも対応し、MPE対応プリセットも多数収録されるそうです。

操作性の向上

コントロール部分などもブラッシュアップされて、操作性が向上しました。
中でも、ディスプレイ右側には搭載されたジョグホイールが秀逸。左右に動いて押し込めるジョグホイールで、Pushを操作するときにマウスのような役割を果たしてくれます。
ジョグホイールを左に動かすと「戻る」、右に動かすと「右クリック」、押し込むとマウスクリック、みたいな操作体系でPush 2と比べると操作性が格段に向上しています。
また、Push 2ではいまいち使いどころがよくわからなかった上下左右の矢印ボタンが「セッションDパッド」としてブラッシュアップ。中央にもボタンが配置され、上下左右の矢印ボタンで操作して、中央のボタンで決定、みたいなワークフローができます。
あと、気がつかないうちに触って音量が下がることがあるマスターフェーダーのエンコーダーが無くなりました!

対応するLiveはバージョン 11.3以降

さりげなく大事なところです。Push 3が対応するLiveは本日公開されたバージョン11.3です。さらにスタンドアロンのPushでは、追加でライセンスを買わなくても本体にオーソライズできます。SuiteユーザーならSuite搭載デバイスをPushで使えるし、追加購入したPackを本体内部にインストールして使ったり、Max for Liveデバイスまで使用できます。Suiteに付属するPackはトータルで100GB近い量になるので、スタンドアロンで使うには十分過ぎるほど充実したライブラリーになります。

11.3にはMPE機能の強化やワープエンジンの向上などの新機能もありますが、個人的に激推ししたいのは新たに搭載されたシンセのDrift。LiteからSuiteまでの全エディションで使用できます。
これはヴァーチャルアナログシンセですが音が良い!Driftという名前のとおり、音が一定ではなく揺れているので、VAならではの偽物感がありません。Driftを読み込んだら、音を出しながらShapeというパラメーターを上げるとニッコリできます。
なお、Driftの使い方はこの動画でほぼすべて解説しています。仕事が速い!

気になるお値段は…?

ここまで紹介すると「でもお高いんでしょう?」とテレビ通販のようなリアクションをとるかもしれません。
Push 3のお値段は通常版が128,000円、Push 3(スタンドアロン)は258,000円です。
Push 2と比べて高くなったと感じるかもしれませんが、この円安&物価高のご時世にオーディオインターフェースやMIDI等の入出力ポートを追加されているので、相当頑張ったお値段ではないかと思います。スタンドアロンも、Elektron等のグルーブボックスと比べて高価というわけではなく、「高いけど安い」という感想を持ちました。

とここまで駆け足に紹介してきましたが、Push 3の詳細はAbletonのサイトもあわせてご覧ください。

https://www.ableton.com/ja/push/

Ableton Meetup Tokyoでは、これからも色々な形でPush3を取りあげていきます。お楽しみに!!!

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